同じ賃金区分に入っている二つの資格
税理士と公認会計士は、賃金の統計では「公認会計士,税理士」という一つの職種区分にまとめられています。2023年調査で全国の月額は506.4千円、年間賞与は1390.5千円、平均年齢は39.4歳です。数字の上では区別がつきません。
しかし仕事の中身は別物です。違いは「誰のために書類を見るか」に集約されます。
依頼者のために作るか、依頼者の外に向けて意見を出すか
[税理士](/job/zeirishi.html)は、企業や個人の依頼により、所得税・法人税・住民税などの税金について相談を受け、申告や申請に伴う税務書類の作成や手続きの代行を行います。依頼者の側に立ち、依頼者のために書類を作る仕事です。
[公認会計士](/job/konintokaikeishi.html)は、企業などからの依頼を受けて財務書類を監査し、企業の会計が適正に行われているかを監査報告書によって意見表明します。依頼を受けるのは企業からですが、その意見を読むのは企業の外にいる人たちです。作った側ではなく、作られたものを検証する側に立ちます。
重視される知識と技能の並び順で見る
| 項目 | 税理士 | 公認会計士 |
|---|---|---|
| 概要 | 税務相談・税務書類の作成・手続きの代行 | 財務書類の監査・監査報告書による意見表明 |
| 重要なスキル(上位5) | 傾聴力/読解力/説明力/指導/文章力 | 傾聴力/説明力/読解力/文章力/説得 |
| 重要な知識(上位5) | 経済学・会計学/事務処理/法律学、政治学/顧客サービス・対人サービス/ビジネスと経営 | 経済学・会計学/事務処理/ビジネスと経営/顧客サービス・対人サービス/法律学、政治学 |
| 関連資格 | 公認会計士、税理士、簿記能力検定(全経上級・1級・2級) | 公認会計士 |
| 似ている職業 | 行政書士/司法書士/経理課長 | アクチュアリー/IR広報担当/税務事務官 |
同じ5項目が並んでいても、順番が違います。
税理士の側には「指導」が入り、知識では「法律学、政治学」が3番目に来ます。税法という法律を読み解き、依頼者に教えながら手続きを進める仕事だからでしょう。
公認会計士の側には「説得」が入り、知識では「ビジネスと経営」が3番目に上がります。監査した内容について、相手を納得させる場面が想定されているとみられます。
「似ている職業」が示す隣の世界
同じ表の最下段は、二つの仕事が地続きになっている相手の違いをよく表しています。
税理士の隣には[司法書士](/job/shihoshoshi.html)や経理課長が並びます。書類と手続きの世界です。公認会計士の隣には[アクチュアリー](/job/akuchuarii.html)やIR広報担当が並びます。数理と、企業の外への情報発信の世界です。
なお、[経営コンサルタント](/job/keieikonsarutanto.html)の関連資格には公認会計士と税理士の両方が挙がっています。会計の専門知識は、監査や税務の外へ出ていく足場にもなります。
資格の入り口も対称ではない
税理士の関連資格には公認会計士が含まれます。逆に公認会計士の関連資格は公認会計士のみです。片方向の関係になっています。
税理士の側には簿記能力検定(全経上級・1級・2級)も並び、段階を踏んで近づける入り口が用意されている形です。
賃金は地域差が大きい
| 区分 | 全国月額 | 全国賞与 | 月額が高い県 | 月額が低い県 |
|---|---|---|---|---|
| 公認会計士,税理士 | 506.4千円 | 1390.5千円 | 山梨県946.7/石川県900.0/静岡県899.0 | 秋田県203.2/岡山県232.7/熊本県263.2 |
[公認会計士,税理士](/wage/w1181.html)の区分では、県による開きが大きく出ています。金額はすべて千円単位です。
参考までに、士業の別区分である[弁護士](/job/bengoshi.html)などが入る[法務従事者](/wage/w1173.html)は全国月額770.8千円、平均年齢51.2歳。[中小企業診断士](/job/chushokigyoshindanshi.html)や[ファイナンシャル・プランナー](/job/fainansharu-purannaa.html)が入る[その他の経営・金融・保険専門職業従事者](/wage/w1189.html)は618.0千円です。
選ぶときの見方
これらの数値は職種区分ごとの平均であり、個々の求人の条件を示すものではありません。同じ資格でも勤務先や地域、経験によって条件は変わります。
その上で、二つの仕事を分ける問いは一つです。依頼者の側に立って書類を作り、教えながら手続きを進めたいのか。作られた書類を外から検証し、意見を出す側に立ちたいのか。統計は同じ枠に入れていますが、日々向き合う相手はここで分かれます。
職業情報提供サイト(job tag)/厚生労働省 職業情報データベース(独立行政法人 労働政策研究・研修機構 作成) 数値系 Ver 7.00/解説系 Ver 7.01(2026年7月30日取得)
賃金構造基本統計調査(厚生労働省)「令和2年以降 一般_都道府県別_職種(特掲)DB」を加工して作成
雇用動向調査 職業別 未充足求人数・欠員率(2021年)
雇用動向調査 職業別 入職・離職者構成比(2017年)
雇用動向調査 現職職業×前職職業 別入職者数(2019年)